夢か現か



身体が熱くて目が覚めた午前5時。
その原因がなんなのか、それはさっきまで見ていた夢のせい。いつものわけのわからない世界が広がっていたなら良かったのに、忠義と久し振りに会えた昨日に限ってこの有様。忠義と夢の中で恋人の営みをしていた。
お互い疲れてることもあって昨日はおとなしく何もせずに寝た金曜日。
の、はずだったのに、身体はやっぱり正直で、忠義を本能が求めてるかのよう。上半身を起こした状態でこの行きようのない火照りを残したまま 気持ち良さそうな寝顔を見つめる。
でも、

「忠義、」「…」「どうせ起きてるんでしょ」
ピクリと唇が動いた。頭の上に豪快に挙げられた腕をツーっと人差し指で撫でる。それでも寝たふりを続ける彼の手の平を今度は指を絡ませて握り込む。
「お願い、起きてよ」「ふふ、やっと折れた」
目を瞑ったまま むにゃむにゃとなんとか唇だけを動かす
こっちが負けを認めると簡単に“フリ”をやめる忠義。
「今何時」「5時」「まだ寝れるやん、寝よ?」「まって」
布団をかけ直してまた寝ようとする彼を止める。こうまでして起こしたかったのには理由がちゃんとあって
「、シない?」「うん、 うん?え なんで」「なんでも」「朝からすんの嫌いなんちゃうん」「うん、嫌い」「えー、なんでよ」
まぁええねんけど、とまだ焦点の合ってない目をパチパチさせるのがまた可愛らしいなぁと、思っていたら
「んぁあわかった、昨日のね」「え」「えちゃうやろ、えっちな夢見てたやろ」「、なんっでよ」「んー、隣でなんか言うとる思って珍しいから聞いてたら“たぁ”って必死な声でずっと言うてんねんもん」
ニヤニヤと笑う彼に、しまった、と思った
「“たぁ”って、普段呼ばへんもんなぁ?」
行為の時 呂律が回らなくて“たぁ”って呼んでしまうのは 私だって気づいてる。

バレてたことが恥ずかしくて悶々としてたら「シよか」と言いながら掛け布団と一緒に覆いかぶさってきた。
「やっぱいい、」「あかん、俺目覚めた」「っ…」「夢ん中で どうしてた?ちゃんと教えて」「んっ」「はよ」
と急かしがら既に色んなところにキスを落としている。

「…首に」「首に?」「、っキスマーク」「わぁお、初っ端から飛ばしてるやん。お前の中で俺どうなってんの」
ここ?といちいち確認しながら じゅっと音を立てて吸われる。
「ん、はい 次は」「…」「なるほどね、わかったわ、慣らす?」
私が足をすり寄せただけで、察しがいい忠義はすぐにスウェットのゴムを緩ませ中に手を忍ばせていく。寝起き且つ子供体温の彼の手が熱い。「ほんまに濡れてるやん」私のを膝のあたりまで下ろしつつ片手で指を2本 差し込んでいく。
「んんっ」「んー、ならさんでもよかったかなぁ」「ぁ…、そこ」
いつもより短く済んでまうって顔はむすっとしてるのに、指をバラバラに動かされた挙句 入り口付近の上の壁をトントンと叩かれたり 優しく擦られたり。この状況を案外楽しんでるんじゃないか。
「あっ、たぁ…まだ やっ、」「一回イっとき」「やぁぁ…んんんんっ」
待ち続けた快感に身体は正直で いつもより豪快に絶頂を迎えた。

「めっちゃ腰浮いた、何今の?えっろ」
と言うと、早急に自分のモノを取り出して手早く準備を済ませた忠義はゆっくりと中に入ってきた。

「はい、で どうする?」「、このままギュってしてよ」「え嘘やん なにそれ、あかんわ。むっちゃ可愛い。お前俺のこと好きすぎちゃう?」「なんでそうなんの」「スマホのパスも俺ん誕生日やしホーム画面もこの前一緒に撮ったヤツやしLINE俺の名前にハートつけてんのも知ってるし」「わかったから、認めるから、もう、黙ってよ、」
甘え下手な私がなんとか行き着いた彼氏への愛情表現を全て暴露された上に、なによりそれが本人にバレていたことが恥ずかしい。さらに身体が火照っていくのは朝にそぐわないこの場面も相まってのことか。
繋がったまま抱きしめられるのは初めてだったけれど、あまりの幸福感にガラにもなく目頭が熱くなった。広い背中に腕を回して少し力を入れてみればさらに強く抱きしめられる。
あぁ、これが幸せというものなのかと。

「あー、これええな。幸せ」「、んね」「ずっとこれでええな…」「んー、それはちょっと」「…」「…」「…」「、忠義?」「、うわやばい寝てた」「え」「ちょ眠なってきたわ、このまま寝ていい?」「え、」「あったかぁ、寝るわぁ……おやすみぃ」
私に体重を全て預け、抱きしめた状態のまますぐに眠りについた彼はもう一筋縄じゃあ起こせない。しょうがないから体勢だけ変えて私も寝ることにする。繋がりながら寝ることも初めての体験で、どうにも恥ずかしい。
それでも、この時間がどうしようもなく幸せだ

早朝 夢と現の合間に




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