愛妻家
筑前煮、湯豆腐、大葉と蓮根のはさみ揚げ、味噌汁、炊きたてのごはん
机の上に並ぶのは彼女が得意とする和食料理のフルコース
今日も変わらず美味そうな食卓に思わず釘付けになっていると「ほら食べるよ」とエプロンを外しながらノールックで催促される。
俺をなかなか甘やかさない、そんなところが好きだったりして。
「ほんまに美味そう、なんでこんなんパパッと作れるん」「美味"そう"じゃないでしょ」「いっつもうまい!いただきます!」「ありがとう、 召し上がれ」
今日も帰ってきた時間は俺とあんまり変わらなかったのに、買ってあった食材で味噌汁と湯豆腐それから揚げ物をいともたやすく作ってしまう彼女は何者なのか
「ねぇ忠義」「なにぃ」「いつも褒めてくれるのすごく嬉しいんだけど」「うん、うまい」「ありがとう、でもいつになったら私は 忠義のイタリアン食べれるの」
そういえば、元はと言えば付き合い始めた時に料理をどっちが作るのかで話し合ったのがきっかけやった。飯作るんは嫌いじゃないから俺でも良かったんやけど、それでも彼女ができたら絶対彼女に作ってもらいたい派だった俺は キッチンの権利を堂々と譲ったった。
単純にイタリアンが好きやから こいつと付き合う前までよく作ってたけど、和食作るんが強い彼女と付き合い始めて、和食無しの生活は無理だと感じ始めた最近になってようやく、あぁ これが胃袋を掴まれるってことか、なんて気づく。
「もう俺イタリアン作るん嫌や」「なんでよ」「和食がえぇ、お前の筑前煮食べな1週間始まらへん」「、、うぅん、嬉しいんだけどね、」「あー、うっま。もう胃袋掴まれたから離れられへんわぁ」「んんん、それ言われたら、ズルいなぁ」
毎日食べてても飽きへんかったらもう俺ら一生一緒におる、って決めてもなんら問題ないよな。見放されないようにせんとな、なんて俺が追いかけたいと思った恋愛はいつぶりか。
指輪どんなんがええかなって、先走りすぎ、、?
拝啓、彼女様 貴方には敵いません。
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