HELL



「ねぇねぇ」とニヤつきを抑えながらボディタッチをしてくる時は断れた試しがなかった。その後に何が続くかをわかっているのに断りきれないのは満更でもないからなわけで。
「んっ、今から?」「そ。今から、」
丁度五時のチャイムが鳴った。今日寒いからなぁ仕方ないなぁと言う彼のコレは真夏の最高気温を更新した日でさえもこうして仕掛けてきたんだから理由になってないと思う。「ばんざぁい」と言われて素直に両腕をあげると満足げに私のスウェットを放り投げる。今日は見られる予定のなかった身体をじっと見つめる忠義の視線に身体がこわばる。せっかくの彫刻みたいな顔なのにいやらしい目つきをしてるのは少しもったいない。
「とりはだ」「寒いもん。忠義も早く脱いでよ」「えー、寒いやん」「どの口が言うの、どの口が」
キッと睨み付けると「そんな顔してええの?」と秒でスイッチが入る。
まだ夕飯作ってないのになぁ。



「今日これで終わってまうよ」
前戯と言って良いのかすらもわからない。ただただ指で弄ばれるだけ。“嫌だ”と言う言葉が通じないこの男にストップの声を飛ばしても意味がない事を知っているからこそ、前にも後ろにも進まないこの現状にされるがまま。
「んっ…ねぇ、早くっ」「だぁかぁら、ちゃんと全部言わへんと先進まれへんって言うてるやん」
反り立たせておいて よく言うなと思ったけど忠義よりも 寸止め状態が続く私の方が明らかに辛い。でもこうして辛いのに言えないのはプライドが高い私の性格をわかってて仕向けてくるから。私が変なプライドと戦ってる途中も容赦なく中で長い指を動かしてくる。
「ぁ、ねっ…イクぅ、」「まぁだ、」「っ…おねがっ」
そうやってギリギリまで焦らして焦らしてイク手前で指の動きを止めるからたまったもんじゃない。指が中に入ったまんまだからこそツライ。それならいっそ抜いてくれた方が楽なのに。
「早よせんと、このキツイとこもう一本入ってまうよ」
「俺は別にええねんで、このアングル意外と絶景やし」
やっぱ胸ってええな、最高 とかなんとか。忠義の左手が向かう先がなんとなくわかっていたけど、そこを今触られたらどうなるかぐらいわかっていたけど、抵抗する気力なんてすでに持ち合わせていなかった。
「ねぇ、やっ…」「お前やっぱでかいよな、はぁ最高」「やめてっ、」
やわやわと左胸を揉みながら胸の間に顔を埋める。なんとも言えない恥ずかしさと寸止めを何度も味わった身体は限界に等しかった。
「んっ…、忠義っ ナカ挿れ、て…」
もう一生言ってやらないと心に誓いながらせめてもの懇願。「上出来」と呟いた彼は即座に指を抜き、モノを押し当てる。熱いソレが当てられただけで腹の底がギュウンと唸った。死んでしまうかもしれない。
「きっつ、ちょ あんま締めんな」「む、り」
締め付けに抗って無理やり入ってくる質量に苦しくなって息ができない。口を噤んでいたら手が伸びてきて、唇を割り、空いた隙間から親指を入れられる。
「ちゃんと呼吸せぇよ」「んっ、はぁ…ん」「涙目、かぁわいい」
口を閉じたくても閉じれないから。なんとも奇妙な私の声が室内に響き渡る。きっと忠義の親指は私の歯型でいっぱいなんだろう。「よく我慢しました、イってもええよ」と、蕾と奥を同時に攻められる。あまりの気持ちよさに このまま天国に行けるのか、あぁこんな体たらくな事しかしてないんじゃあ 忠義と一緒に地獄行きかも、なんて。平和ボケ。



「もう夕飯作れないんだけど」「ええやん出前で」
素早く宅配ピザの広告を持ってくる忠義は多分こうなることをわかってた。また何もしない休日の出来上がり。こうして忠義と堕落していくのが幸せだなんて、どうかしてるのかもしれない。

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