Blindfold
「んねぇ、めぇかくして…」
は?なんて?メカクシテ? 目、隠して ?
思ってもいなかった言葉に動きを止めてしまった。酔っ払って帰ってきた彼女は散々俺に迫った挙句、こちらがその気になったら「もうねる」と言ったり、はたまた弄る手を止めると「おわりなの?」と悲しそうな目で見つめてきたり。この時点で振り回されっぱなしなのに、最後に爆弾を落としてきた。
「なに、どうゆうこと」「め かくしたら、きもちって」「誰から聞いたん」
「こおはいの子ぉ」「…男?」「そぉ、きただくん」
どうやったらその話が部署飲みで出るのか、そんでもってどうやったら後輩の口から聞くことになるのか。ほんまやったら明日立てられへんようにしたいねんけど、ギリギリのところで理性を保った俺を褒めて欲しい。
へらへらしてる彼女の首筋をジュッと吸ってから枕元に置いてあったタオルを手に取る。去年のライブのもの。くすぐったいってそんな笑ってられんのも今のうちやぞおまえ。
本当に視界が塞がってるのかわからないまま 指を腹に沿わせてみると、ビクっと白い肌が跳ねる。、これは意外と効果ありかもしらん。
「ぁ…やだぁ 」「やだって、お前がしたい言うてんぞ」「んっ」
ただ全身を手のひらで触ってるだけなのに、俺の手から逃れようと必死に身をよじる姿が愛らしい。
「きもちい?」「んんっ、たぁ…」「なぁ、気持ちええの?」「ん、きもちいっ」
普段だったら口にしないことも快楽と酒に呑まれてスラスラと吐き出す。ヤバイ、俺がハマりそうかも。触るだけ触って何もしてやらなかったのにいざ下を見ると見事に変色したパンツに胸が高鳴る。まだまだ心は若いまんまやなぁ、なんて。
キラリと光るそこに指をゆっくりと鎮める。あえて、Gスポットは刺激せずに。上の壁になるべく触れないように幾分か触ってやると、やだやだと言い始める。
「さっきからそればっかやん」「やだぁ…ねっ、やっ」「やだばっかやったらやめる?」「んぅ」
いつもそれぐらい素直やったらええのに。黙って抵抗するのをやめたのを見てキモチイイとこを円を描くように撫でてやるとさらに高い声で鳴き出す。
「お前止まらへんな」「ん、っ」「ツアータオルで目ぇ隠されて興奮してんの?」「ちがっ、」「違わへんやろ、それ俺がライブで使ったヤツやで」
耳元でわざと低い声で言ってやると小刻みにキュッキュッと締め付ける。本来と全く違う用途で使われるそれを見つつ ステージからの景色を思い出す。確かに興奮はするけど、あの時の熱と今の熱を同じものとして扱ってはいけない気がして。わかってはいても、それでも変な気分になって、俺最低やな とか思う。でも多分それはこいつも一緒。ナニカを想像して1人で勝手に腰振ってんのを見て いやらしいなぁって、そんな感情が押し寄せる。
「んっ、」「なに想像してんの、ねぇ、そんな余裕あんの?」
俺の方がノってきて 形成なんてとっくのとうに逆転してる。さっきとは打って変わって丁寧に指の腹でスポットを攻める。耳元のシーツを掴んだまま離すことのできないでいるのが可愛い。焦らしに焦らして最後には休みなしでイかせまくるのが好きなん趣味悪いなぁと我ながら思いつつ、しなやかに踊る彼女を眺める。
視覚が奪われた彼女はいつもと比にならないほど感度がいい。
「んね…、しんじゃうっ」「死んじゃうなぁ」「きもちっ、ぁ…イくっ、」
肩で大きく呼吸をしながら息を整える。背中とシーツの間に腕を入れ込み状態を起こして 今度は俺が寝そべり、その上に乗せる。うまぁく真上に誘導しつつ、なにも見えずに戸惑う彼女の膝の裏を抑える。垂直に反るソレの先が彼女に触れた瞬間なにが起こってるのかを理解した彼女は やだやだとまた首を振りだす。
「はい がんばって」「やっ、もむり…」「無理ちゃう、俺まだやねんから。はよ」
口をぎゅっと結んでゆっくりゆっくりおさめていくのを見て早く突いてやりたい衝動を抑える。
あぁ、でもやっぱ無理かも。一応ごめんと心の中で謝って、一気に下から押し込む。と、その衝撃に耐えきれず倒れこむ彼女を両腕で抱き込み、後は本能のままに。結果的に立たれへんようになるかもな、ごめん。先謝っとくわ。
「へいき?」「…だいぶ酔い覚めた、ほんっと最悪」
もうしばらく酒は飲みたくない、と自分の髪をぐしゃぐしゃかき回す彼女の上に被さり、俺は楽しかったのになぁ なんて呑気に思いつつ、鼻腔いっぱいに広がるよう匂いを嗅ぐ。俺の好きな彼女だけの匂い。
嗚呼、五感のなんと偉大なことか。
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