いつかの行為の時は下着を見ない村上さん



「やっぱり今日下着バラバラだからやだ」
服を脱がすとパッと腕を持ってって胸を隠す。
それなりのムードで、久々にすんのにこいつはまた変なことを言い出した。ありがたいことに俺が半日オフやったし、一緒に飯食って、なんや俺の出てるの見るー言うて聞かへんから月曜のあの番組見て、街頭インタビューで俺のファンの子が出てきたからか知らんけど無口になって、番組終わったと思ったら急にシたいとか言うたから始めたんにコレやで。
「何を言うとんねん」「だってバラバラなんだもん」「あのなぁ、」
一旦離れると少し身構えてビクついた目で見よる。それがウサギみたいで可愛えとか思ってまう、…俺らしくないか?
「男はあんまり見てへんぞ?」
「…なにそれ、男って、そんなもんなの?」
少し涙目になり始める。あかん、またなんか間違えた?
「……信ちゃんに喜んで欲しくて買ってるのに」「え」
「もういい!信ちゃん出てって!」
あかんあかんあかん!ちょっと!!誤解やって!!
「そういう時は先のことにいっぱいいっぱいやから見てへんっちゅう話や!誰も興味ない言うてへんやろ!」
馬鹿みたいに掴んだら折れそうなほっそい肩に両手を置くと目線を逸らさないようにする。ちょっと潤んだ目に上目遣いって…、外でもこんなことしとんのか?
「…なんやその、俺のために買うてんのん」「…うん、買うてる」
「ほんなら次からはちゃんと見るわ…今日は見ぃひんから、な?」
今のは80%勝ったって意味の「な?」やで。そんなん言うたら「信ちゃん大好き!」って言って飛び付いてくんの期待してるんやけど、
「…信ちゃん大好き!」
ほれ見ろ。そんな単純で子供みたいなこいつが好きな俺も俺やけどな。下着なんてどうだってええやろって思ってたんがこいつが選んだんなら見てあげなあかんかもなぁと思った、そんな、夜。





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