2019.01.19 01:00HELL「ねぇねぇ」とニヤつきを抑えながらボディタッチをしてくる時は断れた試しがなかった。その後に何が続くかをわかっているのに断りきれないのは満更でもないからなわけで。「んっ、今から?」「そ。今から、」丁度五時のチャイムが鳴った。今日寒いからなぁ仕方ないなぁと言う彼のコレは真夏の最高気温を更新した日でさえもこうして仕掛けてきたんだから理由になってないと思う。「ばんざぁい」と言われて素直に両腕をあげると満足...
2019.01.19 01:00お城みたいなホテル「もう会うのやめよう」精一杯だった。安っぽいホテルのカーペットに彼の吸っていたタバコの灰がぱらぱらと落ちる。部屋が禁煙だろうと火災報知器の目を盗んで 御構い無しに吸うのはずっと変わらない彼の癖。「なんでや」「私もそろそろ本気で結婚考えなきゃいけないし」「このままダラダラは嫌だから」永遠なんてないんだよ、すばる。大見得切って放ったけれど結婚願望なんて更々ない。それでもこのまま彼と欲をぶつけ合うのは違...
2019.01.09 10:00Andalucía「今日は帰るね。」心ここに在らず、その言葉が似合う表情の彼女はベッド脇に座りながらも床に落ちた服をいそいそと拾う。眉を潜めているから眉間に皺が寄り 口元はキツく結ばれていて、いつもの彼女らしくないとさえ感じた。「ほんまに帰るん」「…」「朝まで一緒にいたいって言ったらこまる、よな」返事はわかってるつもりだった困らせることはわかっていてもどうしても彼女と一緒におりたかった。何度も何度も狂ったように名前...
2019.01.09 10:00イッツマイソウル顔が整ってるわけでもないし、むしろパッとしない、そんな第一印象に何を思ったわけでもなかった。そんなんだったら隣のちょい小綺麗にした女の方がよっぽど目を引いたし、そういうんが世間一般でいう“かわいい”に属してるんだろう。他の奴らはみんなそこそこやのに俺の目の前のコイツだけは ふつう やった。ふつう。ほんっまに ふつう。不細工とかやないけど、言うて華やかでもない。時間の無駄だということを踏まえた上で、...
2019.01.09 10:00VOICE彼女は声を出すのを嫌がる。地声が低いから聞かせたくないって可愛いこと言ってた気もする。俺としては それはまぁ聞きたいわけで。この前無理に口元を抑える腕をあげさしたらほんまに怒って家出して 音信不通にまでなったし それ以降はやってへんけど。「あかんの」と聞くと大きく頷く。ついに枕までも味方につけたし声を聞くのは一生無理なんちゃうかな。でもやっぱり、あんなんされてもどうにかして聞きたいもんやん。負けじ...
2019.01.07 13:05Queen「うちの社員は私含めて5人、事務の子1人と後3人は嬢ね」「え」「大倉くんだよね?ヨコの後輩なんだって?」「はぁ」「あー、私いちおう社長。山崎です、よろしく」「あっ、よろしく…じゃなくて」話と全く違う。働いていた会社が倒産というまさかの事態に襲われてる俺が何とかたどり着いた先。高収入のバイトに就きたくて大学の時お世話になった先輩に“優しい女の人がおる結構ええとこあんねんけど”なんて言われて飛びついた...
2019.01.07 10:00愛妻家筑前煮、湯豆腐、大葉と蓮根のはさみ揚げ、味噌汁、炊きたてのごはん机の上に並ぶのは彼女が得意とする和食料理のフルコース今日も変わらず美味そうな食卓に思わず釘付けになっていると「ほら食べるよ」とエプロンを外しながらノールックで催促される。俺をなかなか甘やかさない、そんなところが好きだったりして。「ほんまに美味そう、なんでこんなんパパッと作れるん」「美味"そう"じゃないでしょ」「いっつもうまい!いただき...
2019.01.07 10:00夢か現か身体が熱くて目が覚めた午前5時。その原因がなんなのか、それはさっきまで見ていた夢のせい。いつものわけのわからない世界が広がっていたなら良かったのに、忠義と久し振りに会えた昨日に限ってこの有様。忠義と夢の中で恋人の営みをしていた。お互い疲れてることもあって昨日はおとなしく何もせずに寝た金曜日。の、はずだったのに、身体はやっぱり正直で、忠義を本能が求めてるかのよう。上半身を起こした状態でこの行きようの...
2019.01.07 10:00Bottle Keep 3度目が無かった。彼と初めて会った日に一度、1ヶ月後の何もない日に一度、それだけだった。私が下手だったから他の女で満たしているのかもしれないし、単にめんどくさくて、鼻っから2回で終わらせようとしていたのかもしれない。理由なんてなんでも良かったけど、最後に行為に及んでから2ヶ月の間ずっと連絡だけが途絶えないのが不思議だった。他の女を狙ってるからキープ枠でとっておいてあるのか、そうかそうか。そう考え始...